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石那田の「なす盛り」(なすび講)

投稿日:2017年8月10日 更新日:

石那田では8月上旬に「なす盛り」(「なすび講」とも)という伝統行事が行われており、かれこれ500年以上続いているという。これは地元の世話人(氏子惣代)が各戸から20個ずつ「なす」を集め、地元の繁栄と安寧を祈って日光の二社一寺(二荒山神社、日光東照宮、輪王寺)に奉納するものである。神社関係では夏の大切な行事となっている。


なす盛り用のなす


なすは袋に詰められ、のし掛けされる

この伝統行事が今から5年前にNHKのBSの「新日本風土記」という1時間番組の中で紹介された。番組としては日光の社寺の紹介部分が多かったが日光とかかわりがあるということで石那田地区のなす盛りが約4分位取り上げられた。

何とその時の番組のナレーションは松たか子が担当していた。自分の中では石那田が公共電波に乗って世に出た瞬間だと勝手に思っている。しかしビデオを録画しなかったのは返す返すも残念であったが、ネットでその番組の動画が見られるようになっているのを最近発見してびっくりした。(しかも石那田の部分だけ3分半の動画にうまく編集されている。にくいねNHK。)

(石那田のなす盛りのNHK動画)3分30秒

http://www2.nhk.or.jp/archives/michi/cgi/detail.cgi?dasID=D0004990299_00000

1.ここからが本題
~摩多羅神の登場~

このNHKの番組は石那田の住民からするとちょっと物足りない。何故、この祀りごとをやっているのかという目的の説明があいまいだった。番組では確かに地域の繁栄と無事を願ってやっていると説明されていましたが、それは一面的な話で、もともとの目的は輪王寺の常行堂に祀られている摩多羅神(またらじん)という恐ろしい神様を崇拝するための行事(儀式)なのです。なす盛りに行くと輪王寺からは「摩多羅神牛王」という名前の入ったお札をもらうのです。


輪王寺からもらう摩多羅神の御札

摩多羅神のことを知っている人はどれくらいいるでしょうか?由来はこう伝えられています。平安時代(西暦800年前半ごろ)円仁(えんにん)というえらいお坊さんが中国にわたって10数年かけて仏教の法典を学び、帰りの船の中で突然現れたというのが摩多羅神です。(それまでは摩多羅神は日本にいなかったわけです。円仁は栃木県壬生出身。慈覚大師とも呼ばれた高僧。瑞巌寺や立石寺などの寺院を創建。仏教界に大きな影響を及ぼした人。円仁は唐で天台山の清国寺というところで法典を学び、それを日本に持ち帰り、天台宗として広めた人です。)

この神は人に「たたり」をもたらす恐ろしい神で、きちんと祀らないと往生ができないと伝えられています。大昔の石那田の人たちは摩多羅神の災いがないよう8月になると供え物を献上し数百年来、ねんごろに祀ってきたのです。

上記のNHKの番組の制作スタッフから「どうしてナスを奉納しているのですか?」と地元の人に質問があったそうです。明確な答えは分かりませんが、地元では摩多羅神はナスが好きだからとか縁起物の野菜だからという話も聞かれます。

2.なす盛りの由来の個人的解釈
番組が放映されたころから私は神社の役をやっていたので、私もなす盛りの由来をいろいろ調べてみました。「ナスは夏の旬の野菜だから」というのが私の解釈です。(つまり、ナスには特別な意味はなく、旬の野菜を奉納に用いたということだろうと考えています)全国には摩多羅神を祀っているお寺がたくさんあり、行事なども行われています。ただ、どこのお寺でもナスを献上するというところは見当たりませんでした。

それどころか岩手県の毛越寺(中尊寺金色堂の所にある寺です)では毎年1月20日夜に摩多羅神のお祭りをやるのですが、供え物として大根や白菜を使っていることが分かりました。これは摩多羅神が大根、白菜を好んでいるからでなくその時とれる旬の野菜だからだと思います。また、摩多羅神のお祭は場所によって時期がバラバラで8月とは決まっていません。

3.大学の先生にも聞いてみた
中世の日本の神について研究している大学の先生にも聞いてみました。その道では第一人者と言われている和光大学の山本ひろこ先生に聞いたところ、「摩多羅神とナスは直接関係がないのではないか」と言われました。この先生は中世の神に関していろいろな書物を著されており、「異神」という本の中で石那田のなす盛りに関して紹介されています。(日光や石那田にも足を運ばれたそうです)

(補足)
平安時代、摩多羅神を日本に伝えた円仁は唐から帰国後、比叡山延暦寺(天台宗の総本山)に摩多羅神を祀るための常行堂というお堂を作り、全国の天台宗系の寺院にも同じようなお堂を作ったそうです。日光の輪王寺(東日本地区の天台宗の総本山)にも摩多羅神を祀る常行堂があり、同じ天台系の毛越寺にも常行堂があります。要は摩多羅神を祀っているのは天台宗系の寺院が主なんですね。(神仏混淆でちょっとごちゃごちゃしている部分はあります)

だから石那田のなす盛りの行事は日光の二社一寺といっても実は輪王寺がメインなんですね。(常行堂は輪王寺が所有している)

摩多羅神はその由来や素性がよく分からない部分が多く、多くの謎に包まれた神なのです。日光の常行堂(輪王寺の一部)に祀られている摩多羅神の場所には鳥居が付いており、お寺の中に何故鳥居??とよく分からないことだらけです。まだ、あれこれ書きたいけど、これ以上書くと読む人が混乱するかもしれないのでやめておきます。


摩多羅神が祀られている常行堂(輪王寺の一部)


摩多羅神の前には鳥居がある

※上記写真は輪王寺ホームページから転載させて頂きました。(自分でも現地で撮影しましたがこれほどきれいに取れなかったものですから)

(参考)
輪王寺ホームページ(常行堂と摩多羅神)
http://rinnoji.or.jp/precincts/jyogyodo/matarajin

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