篠井には宇都宮市が文化財に指定している天然物(樹木)の一つに「下篠井のイヌシデ」があります。(下篠井高龗神社の境内にある)私は数年前から篠井地区の文化財調査委員をやっており定期的に各文化財の現状調査に行くのですが、イヌシデってどうしてイヌシデという名前なんだろうとずっと思ってきました。名前をすぐ忘れてしまったり、頭の中にすっと入ってこないのです。
名前の由来を調べてみるとちょっと残念なことが分かりました。イヌシデはイヌ+シデが合体して出来たようです。イヌシデは春になると細長く、垂れ下がった花をつけますが、この形がしめ縄や鳥居などに下げられている白い紙(紙垂:しで)に似ている所からシデが付いたようです。(写真参照)
問題は「イヌ」の部分です。私は、イヌは犬のことかと思っていたのですが、そうではなく「いらぬ」が詰まって「いぬ」となったという説明を発見しました。「いらぬ」とは「要らぬ」のことで、人間にとって必要でない、役に立たないという事だそうです。
役に立つ木とは、建築用の材料になったり、果樹を実らせたり、観賞用の木になったり、そういう類の木を指しており、イヌシデはそうではないということで「イヌ」の字が付いたらしいのです。
名前の由来はそうであっても下篠井のイヌシデはまれにみる巨木で、宇都宮市が文化財に指定するほどの価値ある天然木です。これからもずっと地域の安寧を下篠井高龗神社とともに見守り続けてもらいたいと思っています。