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直木賞受賞の門井慶喜さんの講演を聴いて来ました

投稿日:2018年3月3日 更新日:

宇都宮出身で先頃、第158回直木賞を受賞された門井慶喜(かどい よしのぶ)さんの講演が栃木県総合文化センターで行われ、大学生の息子と一緒に行ってきました。
門井さんは今回、宮沢賢治の生涯を父の視点から綴った「銀河鉄道の父」という作品で直木賞を受賞されました。元々は群馬県桐生市の生まれで、3歳の時に宇都宮に引っ越され、高校卒業までを宇都宮で過ごされています。(小学校は城山東→国本中央小へ転校、中学は国本中、高校は宇都宮東、大学は同志社と進んだそうです。)


門井慶喜(かどい よしのぶ)さん

講演は宇都宮市が主催し、会場となった栃木県文化センターサブホールは500人収容の広さですが、当日は座席が殆ど埋まり、補助席で観覧している人もいたので600人くらいは来ていたでしょうか。地元の人の関心の高さを伺わせました。

私はこのような人気作家の講演というものを聞いたことがなかったのでどんな話をしてくれるのかわくわくしていました。講演は夜7:00から8:30までの1時間半でしたが、高尚な文学論を熱く語るのかと思っていたら全くの逆でした。直木賞を受賞する直近の緊張した状況を笑いを交えて話が始まり、自分の生い立ち、作家になるまでのいきさつ等を語ってくれました。話の流れとしては雑談風の軽い話がテンポよく、筋書に沿ってあっという間に過ぎていったという感じでした。(とりとめの無い話を数多くしながらPM8:28に話をまとめたのにはさすがという感じでした)

直木賞受賞が発表されてからマスコミで門井さんに関する様々な情報が流れていましたが、講演ではマスコミに出ないような個人的な話がいろいろ聞けたのでとても興味深かったです。私としてはどうして作家を目指すようになったのか、またどうして大学はわざわざ京都の同志社大学に行ったのかその辺が知りたいと思っていました。

門井さんはお父さんの影響で幼い頃から歴史書や文学に親しみ、その方面に大変興味と関心があったようです。高校卒業時には本格的に歴史を学びたいと考え、文学部史学科に進路を決めたそうで、歴史を実地で感じたいという思いから京都の同志社に進学したと言っていました。大学に入った当初は文学を仕事にするつもりはまだ無く、文学と仕事は分けて考えていたようです。

ところが、大学時代に著名な歴史学の教授との出会いが人生を大きく変えたと言っていました。ある日その教授に招かれて、家に遊びに行ったときに大きな衝撃を受けたそうです。家に入ると玄関から茶の間から書斎から2階までおびただしい本で埋め尽くされており、自分が好きなことを仕事にしている人の姿を目の当たりにして「こういう人生の選択も許されるんだ」と感じたそうです。

門井さんのお父さんも歴史や文学が好きでしたが、宇都宮のケータリング会社を営む商売人だったため、趣味と仕事は別物と考えており、門井さん自身も同じように考えていたようです。しかし、大学卒業時には将来は作家として生計を立てるという目標を立て、目標実現まで宇都宮に戻って大学(帝京大学理工学部)の職員として働くこととしたそうです。

門井さんの生き方にはいつも明確な目標設定が有り、いつもそれに向かって努力している姿がうかがえました。大学職員として働く傍ら、作家になるため懸賞小説に応募し、いつか日の目を見てやるという情熱に満ちた日々を送っていたそうです。著名な文学賞をいくつか受賞することが出来た頃には大学職員を辞め、住まいを大阪府に移し、作家活動に専念することになりました。

また疑問がわきました。なぜ大阪なの?講演の中でこんな風に言っていました。「関西は歴史の宝庫なのです。古代(奈良)、中世(京都)、近世(大阪)、現代(神戸)が至近距離で位置しており、中心の大阪に住んでいるとどこにでも1時間以内にアクセス出来、歴史好きにはたまらない場所なのです。」大阪への引っ越しの時には大学に再入学して歴史を学ぶような気持ちでしたと言っていました。本当に歴史が好きなんですね。(奥様の出身が大阪だという話もしていましたが、それも大きな要因だったのではないかと個人的には思っています。)

本当にあっという間の1時間半でした。個人的なエピソードも大変興味深かったし、直木賞受賞後の殺人的な忙しさなどもユーモアたっぷりに話して頂きました。「受賞後は大阪、東京間を毎日行き来して、もう自分が乗っている新幹線が上りなのか下りなのか分からなくなってきました。」と作家ならではの臨場感あふれる表現で人を引きつけてやまない話しぶりが印象的でした。これからもご活躍を期待しております。
(終わり)
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