篠井の天祭(天棚)

篠井地区にはかつて夏の伝統的なお祭りの一つに「天祭(てんさい)」がありました。天祭は、「天棚」と呼ばれる車輪が付いてない定置式の彫刻屋台を使って行うお祭りです。天や太陽を神様としてお祀りし、農作物に台風や大雨などの被害が無く、順調に生育することを祈ったお祭りでした。8月のお盆の前後に神社の境内などに天棚が設置され、二日、もしくは三日間かけて行われました。

天祭は山岳信仰に根差したお祭りで、山伏(行者)を模した行人(オンギョウサマ)という役が地区の年配者から2名選ばれ、白装束をまとい、祭りの進行役を担った。祭りの中で行人の一人が屋台の2階で神仏に対して呪文を唱え、それに合わせて参加者も呪文を唱え、その後、屋台の周りをぐるぐる回る御千度(おせんど)という儀式を行った。またそれに合わせて太鼓や笛のお囃子も行われた。

(篠井の天棚)

地区 現在の状況 補足
下篠井 部品の状態で倉庫保管 最後に実施された天祭は2003年8月
上篠井 焼失 昭和32年(1957年)7月に放火により焼失
下小池3 消失 令和元年(2019年)10月に台風による大雨で土砂崩れが発生し、保管庫と共に流失

1.下篠井の天棚

2.上篠井の天棚(焼失)


かつての上篠井の天棚(焼失)


天棚2階に上がる2人の行人


白装束をまとう行人


当時の新聞記事の書き写し

3.下小池第3の天棚(土砂崩れにより流失)


下小池第3の天棚(琴平神社境内)


白装束をまとった2人の行人

下小池第3の天祭は琴平神社境内で行われた。琴平神社は下小池第3の高龗(たかお)神社の末社にあたり、北側170m上方にあった。社殿は無く、石の祠のみの神社であるが、ここに天棚の収納庫や集会所などもあった。(上篠井と下篠井の天祭はそれぞれの地区にある高龗神社境内で行われた。)

(下小池第3の天棚その後)
土砂崩れで流失した天棚は土砂に埋まってしまいましたが、地元の人が懸命に土砂の中から掘り出し、いくつかの彫刻が回収されました。現在はそれらは地元の宮司の家の納屋に一時保管されています。(下記写真)しかし、彫刻も割れたり、欠けたりしており、元通りの姿ではありません。

(参考)
天祭での唱え言葉(町人用)

懺悔懺悔 六根清浄 御注連縄を張って 金剛童子 日天月天十二天
ざんげざんげ ろっこんしょうじょう おしめをはって こんごうどうじ にってん がってん じゅうにてん
愛染童子へ帰命頂礼
あいぜんどうじへ きみょうちょうらい
山水耕地神へ帰命頂礼
さんすいこうちしんへ きみょうちょうらい
高お神社へ帰命頂礼
たかおじんじゃへきみょうちょうらい
琴平山神社へ帰命頂礼
ことひらやまじんじゃへ きみょうちょうらい
家内安全、村内安全、疱瘡稲荷大明神へ帰命頂礼
かないあんぜん そんないあんぜん ほうそういなりだいみょうじんへ きみょうちょうらい
愛宕山地神へ帰命頂礼
あたごさんちしんへ きみょうちょうらい
・・・・・・(続く)

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投稿日:2025年1月4日 更新日:

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